支払調書の金額が違うんだけどなんで?

毎年1月ごろになるとフリーランスの方は報酬の支払いを受けた企業から年間の報酬額が記載された「支払調書」が送られてきます。

給与所得者(サラリーマン等)の方にはあまりなじみのないモノかもしれませんが、個人事業主が受け取る源泉徴収票と考えていただければ結構です。

この支払調書、「自分がエクセルや会計ソフトで管理している金額とちょっと違うなぁ」なんてことがあります。今回はその原因について解説していきます。

支払調書ってどうやって作成されるの?

毎年1月末までに去年1年の間に支払った報酬や契約金についてまとめた法定調書という書類を税務署に提出する義務があります。

この法定調書の作成の過程で年間5万円以上の支払いがある方については支払調書が作成されることになります。そしてこの支払調書は作成する企業によって現金主義で作成されることがあります。これが自分で認識している数値とずれる一番の原因になると思われます。

令和元年 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 第4 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

現金主義と発生主義

現金主義で作成される支払調書とは 報酬を支払う側からみてその年の1月~12月までに支払いが完了した金額の合計額及びその金額について源泉徴収した源泉所得税が記載されてれおります。

しかし、フリーランスの確定申告についてはその年の1月から12月までに仕事が完了し請求書を発行しているものの合計金額を「売上」として申告する必要があります。

つまり、12月に仕事が完了し請求書を発行しているが、入金は翌年の1月末になるものは確定申告の際、売上高として計上するが支払調書には記載されないことになり、これがずれの原因となります。

どっちの金額が正しいの?

支払調書の作成ルールと確定申告のルールは違うため、自分が認識している売上金額と支払調書の金額が違っていても決して間違いではありません。

そのずれが上記の理由であるということを認識していれば、問題ないでしょう。桁が1桁違うなど明らかに金額が乖離している場合は支払者(企業等)に問い合わせましょう。




おわりに

実は支払者側は税務署に法定調書を提出するという義務はありますが、支払いを受ける側に支払調書を発行するという義務はありません。

支払調書の発行は単なる慣行であり、確定申告を行う際にも添付が義務付けられていないのです。なので支払調書は参考程度に使用し、自分で正しい金額を集計することが大切です。